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あかるいぜつぼうのみらいで ~一万字インタビューの話~

Myojoの一万字インタビューを読んだ。ライターさんの質問がけっこう切り込んでて、しかも的確にヲタクが訊きたいと思うようなことをきいてくれていて、正直、痒いところに手が届いた感じがした。田口くんの回答は、私の予想とそう大きくは違わなかった。少し、ほっとした。最高にかっこいい、誠実で、愛があって、それは私の思い描く田口淳之介だった。

でも、だからこそ、また馬鹿みたいに泣いた。

なんでこんなに涙が出るんだろうって思って、それで、わかった。

わたしは田口くんのために泣いているのではない。

わたしは、私の為に泣いているのだ。私の、もう叶わない夢の為に泣いているのだ。

 

田口くんを好きになってから、私は踊る田口くんを欲していた。

彼はもっとかっこよくなる。人として、アイドルとして、三十代の田口くんはもっともっと魅力的な男性になるに違いない。そんなこと、想像しようと思わなくたって想像できてしまう。それを見届けたかった。見届けられると思っていた未来。あの日、田口くんの口から脱退を告げられた時、私の中のそういう妄想が、一瞬で粉々になったのだ。そのあまりの衝撃と、叶わなかった未来が悔しくて悲しくて、私はまだ、私のために泣いている。でもそれは、絶対に田口くんが悪いわけではない。田口君は何も悪いことはしていない。自分の道を選択出来るのは誰だって自分だけだ。彼は選んだだけ。私がそれを受け入れられないだけ。

 

自分の思い描いた夢が、目の前で台無しになったの。

春がきたら、KAT‐TUNのコンサートに行くんだっていう夢。

踊る君を見るんだっていう夢。

これから大事に食べようと思っていたケーキが、つるんと手の上から落ちて、ひしゃげて崩れてしまったような気持ち。

私の夢。私が勝手に思い描いていた夢。誰に話したわけでもない夢の景色に、目の前で大きくバツをつけられたような気持ち。

私の夢、王子様みたいな田口君。全身で踊る田口君。顔中で笑う田口君。私が好きになった田口君。夢を見るのは自由だけれど、叶うという保証はどこにもないということを、泣きながら自分に言い聞かせる。

足元の、ばらばらになった夢の残骸を、必死に掻き集めてみる。

元通りに繋げてみるけれど、でももう、無理なんだ。わかってる。でもお願いだから、まだ捨てないでもいいでしょう? まだ見つめていたい。大事にしていたい。まだ光っている。まだ眩しい。愛しい。未来の残像。

 

ああ、田口君、君が好きだよ。

君は、アイドルである前に、表現者だったのかもしれない。

君の放つパフォーマンスこそが、君の真実の言葉だったのかもしれない。それ以上に、それ以外の場所で、アイドルであることを、求めてはいけなかったのかもしれない。あるいは、求められているのだと思わせてしまった瞬間があって、それが君を追いつめてしまったのかもしれない。本当のことは、永遠にわからないんだろうけれど。

アイドルという夢を与える職業。

そう、それは職業だ。アイドル=夢では決してないのに、それでも私は、アイドルに夢を見る。

それはみんなの夢だ。誰のものにもならない夢。でも、自分だけの脚色で、自由に形を変えられる夢。

アイドルだから。アイドルだけど。アイドルに何を求めるかは、人それぞれで、アイドルがあのステージの上に見る夢も、その人その人で、きっと違っていて。そこに正誤の概念はなくても、共有できるか出来ないかで、道はかくも別たれる。

私は、アイドルだって、同じ人間なんだって気づいたから好きになった。私と同じように、仕事に悩んだり、もがいたりして、笑ったり泣いたりしながら生きているから好きになった。ただにっこり笑って、適当に歌って踊っていれば成り立つ世界じゃないってことを、私は社会に出てからようやく理解出来た。同じ社会人として、私はアイドルが好き。等身大の人間としてみた時に、私より遥かにしっかりした信念と誠実さと優しさと愛情を持っている彼らを尊敬しているし、人としてかくありたいという目標でもある。アイドルという職業に全力で向き合い、全うしようとしている彼らが好き。そんな彼らが思い描く夢と、私の望む夢とがイコールでありますようにと、いつだって願ってる。

 

だからね、田口君。

田口くんの届けたい、届けられる夢の形と、私の求める夢の形が、どれだけ乖離していたとしても、田口君は田口君の思うアイドルの姿でいてくれれば、よかったんだよ。

夢の形に、一つだけの正解なんて、最初から存在しないんだから。

君は君のまま、君の思うKAT‐TUNの田口淳之介を貫いてくれれば、それでよかった。誰の理想にも左右されないで、迎合しないで、君が君である、それだけで私はよかった。

それだけでよかったのに。

 

田口くんにも、田中君が抜けた時、時間はかかっても“しょうがないことだった”という気持ちが芽生えたように、いつか私も、田口くんが抜けたことを“しょうがないことだった”と思う日が来るんだろう。

それは明るい絶望だ。無理だ。そんな薄情な自分を、どうすれば許せるのかわからない。

いつかくる絶望の未来でも、私はまだ、君を想って泣いていたい。