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NEWSを知っているつもりでいた私へ~「恋を知らない君へ」の話~

楽曲感想

ああ、これは好きになる曲だ。

はじめてラジオで流れた音源を聴いた時、はっきりとそう思った。

一度聴いたら忘れられない曲。この夏にふさわしい曲。忘れたくない夏を、さらに忘れられないものに変える曲。NEWSの「恋を知らない君へ」は、その最初の一音から恋に落ちた、そんな曲だった。

ドラマ「時をかける少女」のエンディング曲と発表された時点で、このタイトルを知った時すでに、私の期待はかなり高かった。そして世に出た楽曲は、私の期待を遥かに超えていた。

 

 

「嗚呼」の二音で世界の色を変えてしまう手越くん

「嗚呼」という手越くんの歌い出しにまず、この人は本当に天才なんだ!と痛感した。

手越くんの「嗚呼」は、過去も現在も未来も内包する「嗚呼」だった。

かつて一夏を過ごした大人の彼が、いまその消え行く夏の真っ只中にいる彼が、過ぎ去った記憶の中で、無邪気な笑顔を浮かべた後に束の間、我に返った子供の彼が、たった一人の「君」にむかって呼びかける「嗚呼」

思い出をなぞるように優しく、過ぎる時を抱き止めるように強く、響いて刺さる出だしの「嗚呼」は、きっと手越くんにしか歌えない。この世に歌い方が上手いアイドルはたくさんいるけれど、本当に歌が上手い、もっというと「歌で食べていける」レベルの歌を歌える人はごくわずかだと私は思っていて、その中に確実に手越くんは含まれるよなと、改めてしみじみと思った。

 

既存の世界を壊す手越くんの声、その世界を再構築する増田くんの声

これはテゴマスの声に関して感じたことで、手越くんの声はとにかく強い意志を感じさせる声だ。この曲に関して言うなら、本気であの夏に戻れると信じて疑わないような、愚直なまでの真っ直ぐさがあるように思う。「あなただけは消えないで」も、絶対に消させない、という意思が根底に潜んでいるように思うし、「いつまでも僕らの未来はずっと続いてくと思ってた」も、続いていくに決まっている、今も彼の中では続いている、という永遠性を感じる。手越君は永遠の少年なんだなと思った。彼の声は現実を薙ぎ倒し、世界を彼の望む形に造り変えてしまうエネルギーに溢れている。

それに対して、対を成すように存在する増田くんの声は、手越くんが壊した世界に、その情感たっぷりの声で、新しい輪郭を与えていく。

増田くんの声は優しいけれど、それは痛みを知る優しさだと思う。自分はやがて大人になっていく、その抗えない現実を受け入れて、もう戻れないと悟ってなお、あの夏は美しかった、愛おしかったと歌う。叶わないことを知っている願いを歌う。そこには覚悟が滲むように思う。現実から逃げないという覚悟。受け入れて前に進むという覚悟。覚悟をまとう増田くんの声は、だから、儚いのに鮮やかで、柔いのに力強い。

大サビの「嗚呼 あなただけは消えないで 夏の中へつれてって」「あの夏の あの日のまま 笑いあえたら」の部分はまさに、少年ではいられないことを受け入れている増田くんの声の儚さと、ずっと少年でいられると信じて疑わない手越くんの声の強さの対比が、言葉にならないような美しさとなっている。テゴマスのテゴマスたる所以はこういう相補いあう部分が、過不足なくぴったりであるところなのかもしれないと思った。

 

さらに、手越くんが壊し、増田くんが輪郭を与えた世界に、小山君が色を与える。小山君の声は、感情という感情が溢れて零れて瑞々しく、聴いている私の胸に眠る思い出を容易く揺り起こしてしまう。

「足早に 季節は過ぎて 夢のような 時は途絶えた」

聴いているだけで胸を刺されたような痛みを感じるほど、小山さんの声は強く泣いている。

まるで、大人になることを受け入れられないまま立ち竦む少年だと思った。いかないで、消えないでと泣きじゃくる子供のように、零れていく思い出をどうすることも出来ない無力さに打ちひしがられながらも、その思い出の与えてくれる力の強さを知っている声。小山さんの持っている底なしの優しさと、あの共感力の高さが滲む彼の声は、テゴマスが作った世界に色や匂い、温度を足してくれる。

そして、最後に加藤くんが、時の流れを描いている。加藤くんの落ち着いた低音は、大人になってしまった僕そのものだと思った。

一番のサビの最後、加藤くんが歌う「(友達のままで)よかったのに…」の部分で、過去を彷徨っていた私は、はっと現実に引き戻される。そうだ、もう全部過ぎ去った日々だったと思い知らされる。

風が吹けば雲は流れるでしょう? 陽は昇って沈むでしょう? 花は咲いて実を結び、やがて散る。始まりがあるものは、いつか終わる。世界の移ろいを、覆すことの出来ない世の理を、加藤くんの声は歌う。NEWSが描く「恋を知らない君へ」という世界に、誰も抗えない時の概念をもたらしているのは、加藤くんだ。人は大人になる。否応なく、今日は昨日になり、明日が今日になり、君と君がいた夏は思い出になっていく。

それでもきっと、もう一度と願ってしまう時間を、場所を、誰しも胸に抱いていることを、ちゃんと知っているよとNEWSは歌う。それを忘れないで、大事に持っていてと微笑みかけてくれている気がする。それは、かつて少年だった彼らが、たくさんの痛みと引き換えに大人になった彼らが、大人にならざるを得なかった彼らが、それでも、今も途絶えない「NEWS」という夢を握りしめて立ち続けるからだ。そんなNEWSが歌う歌だから、こんなにも懐かしく、優しく、美しいのだと思った。

 

 

NEWSを知っているつもりでいた私へ

歌が上手いといえばテゴマス。どこで植え付けられた先入観か、思い出せないほど自然に、そのイメージはいつのまにかひっそりと、私の中に存在していた。実際、テレビの歌番組でNEWSのパフォーマンスを見る度、やっぱり歌上手いなあと感じていたし、それを疑ったことはなかったけれど、今回初めてNEWSのCDを手にして、その音源をちゃんと聴いて、思った。

ぼんやりと、誰かが語ったような言葉で以て、ちょっと聞きかじった程度の音で、全部知ったような気になって、手越君は歌が上手いよねとか、テゴマスのハモリは綺麗だよねとか、彼らはそういうレベルで語っていい歌い手じゃなかった。ちょっと前までガンジスのほとりでエイヤエイヤエイヤーアーアーアーとか歌ってたのに……!どうなってんだよNEWS!!!!って思った。思って、違う、きっとずっと、NEWSはこんなに素晴らしい歌い手で、表現者だったのに、私がただちゃんと、知ろうとしなかっただけだと思った。端的に言えば、知るの遅すぎ!!! めちゃくちゃく や し い !!!! 

なんて素敵な唯一無二の歌を歌うんだろう…!という衝撃と感動と、もう何度も経験したもっと早く知りたかった!という幾ばくかの消えない後悔と、ここでこの歌に出会えたことへの喜びと感謝を、私はきっと、これから夏になる度に思い出すだろう。

 

 

NEWSを知っているつもりでいる、いつかの私へ。その影すら踏んじゃいないんだから、これからすごい世界が待ってるんで、そのつもりで、覚悟していて。

最後にこれだけは言わせてほしい。

 

あーーーーーーーQUARTETTO行きたかったなーーーーーーー!!!!

 

 

恋を知らない君へ

恋を知らない君へ

 

 

 

お題「NEWSを知らない君へ」