もうげんげんなんて呼べない 【ミクロワールド・ファンタジア 大阪 8/5】

私が初めてこの目で元太君を見たのは、去年の8/11だった。
六本木の地下室に、松倉君と2人、肩を並べて飛び出てきた瞬間のことを、今も、今でも思い出す。
振り仰いだその先のバルコニーが、そこだけキラキラ輝いて、若い力が弾けて笑顔に変わり、降り注ぐのを見た。
若さは武器!可愛いは正義!2人でいれば無敵!そういう2人だった。そういう2人だと感じた。


あれからほとんど一年が経ち、私は大阪にいた。
東京公演のレポを薄目で拝見しつつ、待ちに待ったその日。座席で開演を待つ間、2月に帝劇で見た元太君を思い出していた。錚々たるメンバーの中、一生懸命食らいついていたっけな、と思った。でも正直まだまだだと思った。それぐらい、周りのキャスト陣の技術も経験も、ずば抜けていた。あの中で輝くにはもっと光る何かが必要だと感じた。だから元太君は、次のステージに行く時が来たのだと思った。

ミクロワールド・ファンタジアへの抜擢は、この時共演した屋良君が伸びしろを感じて佐野さんに推薦してくれたと聞いた。でしょーでしょー!お目が高いです屋良先輩!!!!!と謎のドヤ顔をしてしまうくらい嬉しかった。

勇者になりたいアレックスという蟻は、元太君にもの凄く似合っていた。
強くなって兄の仇をとると息巻くアレックスは、けれど自分の等身大の小ささを知り、仲間の絆の力を知る。1人では出来ないことも、誰かとなら成し遂げられる。そのアレックスの設定の一つ一つが、元太君自身とリンクする部分がたくさんあって、これを元太君がやらせてもらえることが、本当に嬉しかったし、ソロで歌って踊って、堂々と演技する、話をきちんと引っ張って舞台の真ん中に立つ姿に、大きくなったんだなあと思った。去年と同じ男の子じゃないと思った。もうげんげんなんて呼べないなぁ、こうやって季節が巡る度に、男の子じゃなくて男の人になってくんだなあって、そんなことを、元太君の精悍な眼差しを見ながら思った。
それはとても嬉しくて、ほんのすこしだけ寂しい。
青い春のその最後の匂いを、気配を、日々風にさらわれていく君の「少年の頃」の欠片を、私はあとどれだけ、見届けられるだろう?


梅田のお洒落な商業ビルの4階から見えた景色は明るかった。六本木の地下からこんなところまで、私を連れてきてくれて、ありがとね元太君。

君の空は、もっとずっと広いから、もっと高く飛んでください。