アラームを鳴らすiPhoneを手探りで止めて、あと少し、と思って惰眠を貪る。
何度目かのアラーム。もう部屋の暑さで目が覚める。起きて、弁当を詰め、朝食をかきこんで身支度を済ませ、家を出る。
職場までは片道30分。いくつかあるセットリストから、その日の気分で選んだジャニーズソングを聴きながら歩く。もともと汗をかきやすいのだけれど、この季節なら職場に着く頃には汗だくだ。
パソコンの前に座る。電話応対したり、伝票を起票したり、午前中はバタバタと過ぎていく。お昼になったら自分で詰めた弁当をもくもくと食べる。同僚たちとお喋りすることもあれば、そのまま仮眠してしまうことも多い。なにせ、上は60代から下は30代と職場の年齢層が広すぎて、同期もいなくて、同じ話題で盛り上がれるとしたら、天気の話題か子育ての話か。私は未婚だし、結婚願望も出産願望もないからただ笑って「大変ですね」と言うのが関の山だ。もちろん、ジャニーズの話なんて自分からはしない。午後もそれなりに慌ただしく仕事をこなし、気づけば定時で帰宅する。毎日がほとんどこれの繰り返しで私の今の生活は出来ている。
停滞している。
淀みに沈む。
歩いても歩いても変わらない景色。
こうして日々が暮れゆくことが、たまに無性に怖くなる。
平凡という、平和ともいう、一見すると不足も不満もないような私の日々に、A.B.C-Zの「Take a”5” Train」は風穴を開けてくれた。
初めてMステでこの曲を聴いた時、正直衣装のインパクトとアクロバットに気を取られすぎて、曲が頭を横滑りしていったのだけれど、それから何度も聴く度に、どんどんこの曲を好きになった。
Poker faceなキミにも
Slow paceなキミにも
明日は来るよ We can believe it
この部分がすごく好きで、聴く度に力を貰える気がして、いつも言葉にならない感情が視界を揺らす。
そのままのペースで大丈夫だよと、言ってくれている気がするのだ。ちゃんと君の日々は進んでいるよと、A.B.C-Zが言ってくれている。彼らが言ってくれていることに、意味がある。この歌は、彼らが歌うからこんなにも特別に私の中で響く。Don’t stop!!と言われる度、俯いてしまいそうな顔を上げようと思う。馬鹿みたいに何度も、忘れては思いだし、諦めては夢を見る。胸を張って生きようと思う。生きたいと願う。誰の為でもなく、他でもない自分の為に。戦わなければいけないのは、いつも弱くて甘い自分自身だ。そんな葛藤の時間ですら「We can enjoy it」とA.B.C-Zは歌う。強い。A.B.C-Zの放つ光は、圧倒的に強くて優しい。
深く息をする。顔を上げれば、世界はまだ見ぬ景色で溢れている。私はそれを一つ一つ、私の足で確かめに行く。その日その場所でしか知り得ない、嘘のように美しい景色を目撃するために。私は私を、眩しい記憶でいっぱいにしたいから。
今までも僕たちがファンを色んな所に連れてったつもりだし、このCDでもっとどっか行こうよって気持ちもある。もっと大きい場所へついてきて欲しいし、ABC-Zのtrainに乗って欲しい。まあ、俺のおんぶでもいいけど。って言ってくれる可愛子ちゃんがセンターのABC-Z最高愛しい。
— れんれん (@batan_inotan) 2016年6月25日
昨日より眩しい世界へ。少しでも明るい方へ。
新しい風が、違う季節を連れてくる。
乗り遅れないように時刻表を何度も確認しながら、私は次の電車が来る時を、楽しみに待っている。