読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

無敵のシンメ 松松の話

ジュニア

11月15日。退勤した職場で私は悲鳴を上げそうになった。

事務所からのメール。光一君主演の舞台「Endless SHOCK」公演決定の文字。その出演者の中に、松田元太と松倉海斗の名前を見つけたからだ。

松松が揃ってSHOCKの舞台に立つ。たったそれだけのことが、どれほどの奇跡か。たったそれだけのことで、どれだけ嬉しかったか。正直、今年事務所から送られてきたメールの中で、ジャニーズWESTドームコン決定のお知らせと並ぶくらい嬉しかった。一大事だった。

 

そもそも、私が松松の存在を知るきっかけになったのは、2015年の「ジャニーズ・ワールド」まで遡る。初日の幕が上がると同時に流れてきたレポの中に頻出する「ダンスが上手い子がいると思ったら松田元太」「松田元太のダンスがヤバい」の文字。

歴戦のジャニオタがこぞって唸る松田元太という子は、一体どんなジュニアなんだろう。初めはそういう単純な興味だった。調べていくとどうやらこの子にはシンメの子がいるらしかった。松倉海斗くん。二人そろって松松と呼ばれていて、松松に関するまとめ記事もあるほどで、それなりの人気を博していることはすぐに知れた。

その頃読んだ記事で一番の衝撃だったのは、2015年の「~SHOCK」大阪公演に出ていた松倉君を見に、元太君が一人で大阪に行ったというエピソードだった。

 

シンメが活躍してると嬉しくて泣いちゃう元太君。幕が上がっては泣いて、帰りの新大阪駅で電話しながら泣いてしまった元太君。なんてこった。こんなシンメが存在するなんて…! え?オタクの都合のいい妄想じゃないんですよね??と雑誌を何度も確認した。正直、もうこのエピソードだけでお腹いっぱい、松松がいいシンメだっていうことは十分わかったよ、と思った。いや、そうやって自分を満足させて、ブレーキを掛けたかったのだ。今までデビュー組しか担当していない私にとって、ジュニアという世界は、果てのないブラックホールであり未知の銀河だった。そこに飛び込むのは色んな意味でハードルが高すぎると思っていた。現場はほぼほぼ東京、大阪だし、地方にくる可能性は皆無。現場の箱のサイズは小さく、チケットの当選倍率は推して知るべし。ジュニア担の平均年齢だって、軽く見積もっても私の実年齢より一回りは下だろう。そんな若い子たちの中に飛び込むなんて恐ろしすぎる。しかも、デビューしてるわけじゃない、明日も知れない存在のジュニアに、担当を作るなんて、考えただけで無謀だと思えた。

 

でも、デビューしてるから明日があるなんて、それもまた幻想であることは、去年のあの日、田口君が証明した。証明してしまった。

だったらもう、関係ないじゃないか、と思ったのだ。デビューしていても、していなくても、彼らはそうと決めてしまったら、自分の足でステージを降りて行く。その日が絶対来るなんて思ってないけれど、絶対来ないという保証もなくなった世界で、確かなことは、今しかないということだけだった。もう何かを後悔しないために、会いたい人には会いに行くし、伝えられることは伝えられるうちに伝える。やれるようにやるしかないのだと思った。「いつか」なんて、そんなこと、そう思っている間は永遠にやってこない。

 

チャンスがあれば、松松が揃って踊るところを、絶対見に行こう。そう思った。

 

その知らせは、春にやってきた。

「サマステ ジャニーズキングダム」公演決定。その公演スケジュールの中に並ぶ、松田元太・松倉海斗の文字。ここしか行けないと申し込んだ、その一公演に当選した。

 

真夏の最中。たぶん暑かった。どのくらい暑かったか、それはもうあまりよく覚えていないくせに、あの日見た二人のことは今も鮮明に覚えている。

名前をコールされ、「LOVE YOU ONLY」のイントロと同時に、二階のバルコニーに飛び出してきた松松を振り仰いだ瞬間の、あの衝撃。

…なに、あのかわいい生き物×2は!!!!!

人生で初めて「可愛い」という概念に物理的に殴られたような、そんな衝撃だった。頭の中を埋め尽くす「かわいい!!」の文字。いや、なに? かわいいぞ? え、きいてない。わたし、松松がこんなに可愛いなんて聞いてない!! あんな可愛い生き物放し飼いにしておいて大丈夫?攫われたりしない?だいじょうぶ??

私の思考は公演中ずっと大丈夫じゃなかった。シンメとはかくあるべき、とでもいうような、圧倒的な唯一無二の双子感にやられたと思った。微妙に違うカラーリングが施された髪も、表情も、体の使い方も、それぞれに見たら個性はちゃんとあるのに、二人を同時に視界に収めた時、どう見ても双子!そっくり!!と脳みそが錯覚して混乱するような、ダンスと波長のシンクロ率。

日帰りだったけど、東京まで行ってよかったと本当に思ったし、次に会えるのは冬か、もしかすると一年後の夏かなー、ゆるっと成長を楽しめたらいいなーなんて思っていた。そう思っていたのに。

 

その一か月後、松松は博多にいた。そう、私の住んでいる福岡にきていた。

最初に博多で松松の目撃情報が流れたのは「ジャニーズ・フューチャー・ワールド」初日の数日前だった。出るなんてきいてないぞ…!と思いながら、あくまでも噂の域を出ないその情報の真偽を確かめるような心地で、初日のレポを待っていた。松松はいた。二人一緒だった。一公演だけ行こうと決めていた博多座に、はち切れそうな期待を携えて向かった。

ステージの上。髪を黒く染め、歌い踊り、お芝居をする二人を見て、私は座席の上で震えた。

まだ、あの夏の日から一か月しか経っていないのに、別人みたいだと思った。ただただ可愛い、とても可愛い、すこぶる可愛いという印象しかなかった二人は、めちゃくちゃかっこよくなっていた。

いや、いやいやいや、待ってくれ、男の子ってこんなハイスピードで成長する?? 嘘でしょ、超かっこいい、やめてかっこいい、こんなの聞いてない!(二回目)

なんて舞台映えする子達なんだろうかと思った。そして、シンメ位置で松松が踊る時の、あの泣きたくなるような無敵感は何なんだろうとも思った。

もっと二人が踊るところを見ていたかった。「ジャニーズ・オールスターズ・アイランド」に軽率に申し込んでいた。

 

そして今月、「~SHOCK」出演決定の週の金曜日。この日のMステは五周年記念のアルバムを出したSexy Zoneがいて、私はそれを楽しみに待っていた。

なのに、いざそのパフォーマンスが始まったと思ったら、私の視線はセクゾじゃなくて、その後ろを追っていた。私の眼は、自然と松松を見つけてしまっていた。ケンティが「セクシーサンキュー!」とキメているその時も、顔面人間国宝の勝利君がタモリさんに愛の告白をしているその時も、私はその後ろに揃って控えた松松を食い入るように見ていた。ピントが合わないな、ちくしょうと思いながら(当たり前)

勝利君が「Sexy rose…」と暴力的に美しい横顔で囁いた瞬間、やっと我に返ると同時に、もうむりだ、と思った。こんなに好きだと思う気持ちを、抑えておくのは無理だった。見て見ぬふりをするのは限界だった。もっと前で踊る松松が見たかった。数秒バックに映りこむジュニアを見るためだけに、録画を狂ったようにリピートする日がこようとは、今でもまだ信じられない。

 

松松の魅力は、と問われたら、お互いがお互いを信頼し、誇りに思っているというのが、空気で伝わってくるところ、だと思う。私が勝手に思ってることだけども、二人は隣にいることで、互いが互いを強くさせている気がする。大事な君のシンメだから、恥かしいパフォーマンスは出来ない、という自分を鼓舞する気持ち。誰より信頼する君が隣にいるから、恐れるものは何もない、という自信。そういうものが、二人の間には見えるような気がして、泣きそうになるよ。

 

 

一人では信じられないことも、二人いれば信じられる。夢や希望、そういうものの存在を。

二人でなら、どこまでだってきっと行ける。

そういう夢を、私は二人にみる。

どうか、君たちのデビューという夢が、絶対に叶いますように。