星を降らせる王子様の話 【Welcome to Sexy Zone 4/2福岡】

 

公演のネタバレはありません。感じたことをつらつらと。

 

大人じゃない。子供じゃない。大人と子供の境界線の上にいる時、世界はとても理不尽で、狭くて、息苦しくて、許せないことばかりだった。

一人前だと虚勢を張ってみれば、甘い考えだと一笑に伏され、子供の権利を振りかざしてみれば、甘ったれるなと突き放される。

世界はどうして何一つ、思い通りにいかないのだろう。もどかしい。歯痒い。抜けだしたい。ここではないどこかへ行きたい。私は何者なのか知りたい。

そんなふうにもだもだと世界を呪ったり、勝手に絶望したりしていた頃が、私にはある。

ちょうど、今のSexy Zoneと同じ年頃だった時の話だ。今よりずっとずっと、子供だった頃の話。

 

 

彼らは、その頃の私に比べれば、どうしたって遥かに大人に見えた。

最年長の健人君ですら、まだ22歳。なのに、彼ら五人が創り上げてきたステージは、正直、胸が震えるほど完成度の高いものだった。舐めていた。Sexy Zoneを舐めていた。五人のSexy Zoneは無敵だった。

踊って踊って、踊りまくる。まだ踊る? まだ踊るの?! 底なしの体力に唖然とした。頭から終わりまで、ブレーキなんて踏まないまま、トップスピードで駆け抜け続けていく。後半になっても、衰えを知らないダンスのキレ。一分一秒がクライマックスだった。瞬く暇さえ惜しかった。圧倒され、魅了された、あっという間の3時間だった。

 

オープニングから数曲目、センターステージに移動した5人が上着を脱いで2ポーズ目に入った時、覗き込んだ双眼鏡越しに、健人君がくるっとターンを決めた瞬間、ぱっと汗が周りに飛び散った。照明を受けて煌めくそれが、私には真っ白な星に見えた。

健人くん、君は星を降らせるのか。そう思った。馬鹿みたいだけど、頭おかしい人みたいだけど、いや、もう実際ちょっと、ネジの一つや二つ吹っ飛んでる自覚あるけど。本当にそう思ったんだよ。ああ、なんてかっこいいんだろうって思った。ノースリーブの衣装のおかげで露わになった二の腕に、がっしり筋肉があって、想像していたよりずっと大きくてがっちりした体つきに驚いた。あんなに、御伽の国の王子様然としているのに、今このステージに存在している中島健人という人間は、アイドルという天職をがむしゃらに生き抜いている22歳の真っ当な男性なんだ。そう思い知らされた。

滝のような汗を滴らせながら、強く真っ直ぐな歌声を響かせる。途中、メインステージで、他のメンバーが歌っている間、ポーズを決めて微動だにしない健人君をこれまた双眼鏡でガン見した。「はっ、はっ、はっ、はっ」っていう、上がりきってる呼吸音が聞こえてきそうなくらい、全身で呼吸していた。その表情は苦しそうとかではなくて、でも特別笑顔というわけでもなくて、でも、そこには迸るような存在感があった。その眼差しには、佇まいには、力があって、温度があった。いまここに彼が生きているという、当たり前かもしれない事実が、急に実感を伴って私の中に落ちてきた瞬間がそれだった。

 

いったい、どれくらいのスピードで、彼らは大人になることを余儀なくされたのだろう。

軽快にMCを回す風磨くんを見ながら、そんなことを考えた。基本的に4人がボケて、勝利君がツッコんでいくけれど、一番喋り倒していたのは風磨くんで、でもさすがというか、やっぱり語彙が豊富でぽんぽん言葉が出てくるから、話の流れに淀みがないし、散らかし過ぎたら自分で片付けて話をまとめてしまう器用さもある。聴いていてだから心地いいし、ずっとおかしくて楽しくて、MCは笑いっぱなしだった。

風磨くんは、グループの目標など、真面目な意見を求められる場では、きちんと自分の言葉で臆することなく現実を綺麗にごまかさずに表現できる人だと思っていて、その頭の回転の早さには舌を巻く。年相応のやんちゃさと、どうしたって言葉の端々に滲み出る知性、だだ漏れの瑞々しい色気がとても魅力的。いやもうほんと、2003年の櫻井翔を見てるような気持ち。こう、翔さんの生真面目さやストイックさというステータスを、サブカルとかおしゃれ感とか女子力とかに振り分けたのが今の風磨くんって感じなんだよな。で、ジャニウェブの「薔薇色の日々」を読めば、彼がとても柔らかい真っ直ぐな心の持ち主なことは明白で、好きにならないわけがないんだよ、ほんとに。アイドルとしてどうのこうのという前に、人間性に惚れたのが風磨くんだ。

風磨くんの話術はSexy Zoneの武器の一つだと思うし、彼がいれば何かを発信するという点において、不安に思うことは何もない気がした。でも、五人できゃっきゃしてる時は、やっぱり年相応に子供らしい顔で、それもまた可愛らしくて、このギャップのふり幅がまた堪らないよ、風磨くん……。

 

うまくいかないこともあったんだろう。

望む方向と違う現実を前に、悲嘆にくれるファンの姿もきっと知っていて、分かっていて、でもどうしようもなくて、腐ったら負けで、目の前のことを頑張るしかなくて。もどかしい。歯痒い。抜けだしたい。大人と子供の境目で揺れる心情が溢れる勝利君のソロは聴けば聴くほど、そもそもこんな歌詞を勝利君に書かせてしまったこと自体が問題では?!周りの大人は何やってんだよ?!もうねえ?!ほんとにさあ?!お願いしますよ!!!!!と私のモンペ化を加速させる一曲です。

大好きなアイドルの謝罪とか、ファンは世界で一番聞きたくないよ。謝らなくていいんだよ勝利くん。笑っててくれ。頼むから。

最後、声出しすぎちゃったのか、若干声が掠れてた勝利君。アンコールで出て来たら治ってたから一安心。ご機嫌で、テンション高くて、くるくる飛び跳ねてたのが可愛かったなあ。一番、大人と子供の境目にいる人という印象。もう十分イケメンだけど、これからさらにどんな魅力を持つ大人に成長するのか楽しみすぎて震える。

それにしても細い! 体重軽いもんな、勝利君は。おいしいものをたくさんお食べ…と私の中の母性が大変な騒ぎです。

 

聡ちゃんとマリウスくんは、まだまだ区切りとしては子供の側で、グループの可愛らしさ、アイドルとしての高い透明性や二次元ぽさを担う立ち位置なのかなあと感じた。

でも終盤のクライマックスのダンス曲では、笑顔を封印してばっきばきに踊ってて、その時のマリウス君が超クールでどうみても二十歳オーバーだったからほんとに末恐ろしい……16歳とかなんの冗談なの。でも、お誕生日お祝いされてる間は、にっこにこしててマジ天使だった。

聡ちゃんはふわっと天然だけど、ダンスはキレッキレだし、なにより「僕はいま!楽しくて仕方ない!!です!!!!!」って全身で叫んでくるから、こっちも「かわいい!!!!!」って命がけで叫ぶ羽目になるよね!かわいい!!!!!

彼のダンスは言語であり感情であり魔法なんだなと思った。

 

 

アルバムを聴いて、五人の成長をめきめき感じていたけれど、実際にコンサートで見た5人は成長どころではないというか、もはや進化では…と感じるくらい、強い絆と個々のスキルの高さを見せつけられたと思った。

大人じゃない。子供でもない。そういう刹那のSexy Zoneを焼き付けることが出来て、本当に良かった。

五人で踊ってる姿を見て、私の中の元嵐担の部分が久しぶりにざわざわしたのがすごく印象的で、これは、嵐さん、うかうかしてたらやっべーぞって震えたのを覚えてる。それくらい、抑圧された世界から解き放たれたような「5人のSexy Zone」の無敵感がすごかった。

バックのジュニアの子たちも、実力のある子達ばかりだから、ちょっとでも何かが間違えばたぶんこのコンサートは、そちら側に飲まれる可能性も十分あって、でもそれを従えてさらにもう一段高いものをSexy Zoneが提示してきてくれたから、ちゃんと全編を通してしっかりとSexy Zoneのコンサートとして成立していたように思う。

その核はやっぱり「五人のSexy Zone」というところに尽きる。五人が本当の意味で胸を張って「これがSexy Zoneです!」と堂々と言えること。それが何よりも彼らに自信と笑顔を与えているからこそ、歌もパフォーマンスも冴え渡るし、見守るファンもただ彼らに「ようこそ!」と迎えられるまま、そこに身を委ねることが出来た。それって最高だよ。最高なんだよ。

 

 

初めてのSexy Zoneがこの公演で良かったなと思えることがもう一つ。

開演10分前から始まった「セクシーゾーン」コールがすごくて。

ちょっと、去年の夏から数えると通算4回目のマリンメッセで、グループで言えば3グループめだったんだけど、一番声出てた! 福岡のセクシーガールたち、熱い! もうね、なんというか「さっさとセクシーゾーンを出しやがれ!!」っていう気迫すら感じさせるコールだったし、アンコールの時のコールもそうだし、何より会場の揺れるペンラの勢いが尋常じゃないと思った。こう、ペンライトって自然と曲のリズムに乗せて揺らしてしまうものではあるけれど、あの日の会場の光の一つ一つには、それだけじゃない力強さを感じた。嬉しい楽しいやっと会えた!ていう気持ちが、そこに見えるような気がした。叫びたい気持ちをペンラに託してるというか、正直、客席の放つ熱量が、Sexy Zoneの熱量を圧倒してる気さえした。彼らからもらったエネルギーより、ファンが彼らに送ったエネルギーの方が絶対大きいぞと思う。これってほんとになかなかないことだ。貴重な体験をさせてもらいました。ありがとう、福岡に集ったセクシーガールたち。そこだけみても、とっても素敵な愛のあるコンサートでした。最高に楽しかったです!!!!!